医療法人社団 松伯会 山王クリニック    内科、循環器科、精神科、皮膚科

東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワー25階 tel 03-3580-5001 理事長 渡邉基樹 院長 鈴木努

「 @親切にA正確にB素早く 」を理念としているのクリニックです - - - 本院は千葉県匝瑳市にあります。

蕁麻疹(じんましん) urticaria / hives 

じんましんは成人の約20%にみられる頻度の高い症状です。
典型的なじんましんは膨らんで痒みを伴い、数時間で消失します。病態は皮下の血管拡張が主体ですので、緊張している日中はおさまり、リラックスした時や運動、入浴、飲酒後に強くなります。

原因不明のことがほとんどです。

蕁麻疹の分類 classification of urticaria / hives 

1. 急性および慢性蕁麻疹 acute / chronic urticaria

特定の原因が同定できないもの。症状の継続期間により4週間未満のものと急性蕁麻疹, それ以上続くものを慢性蕁麻疹。10年以上薬を飲み続けている人もいます。

2. 接触蕁麻疹 contact urticaria 皮膚や粘膜に特定の物質が接触してから数分後に蕁麻疹を生じるもの。

 1) 食物アレルギー food allergy

じんましんなどの皮疹のほか、消化器症状(悪心、嘔吐、腹痛、下痢)、呼吸器症状(気管支喘息、鼻汁、鼻詰まり、くしゃみ)、アナフィラキシーショックなどを生じます。

 2) ラテックスアレルギー latex allergy

天然ゴムに含まれる蛋白に対する抗体が産生され接触蕁麻疹を生じます。 果物アレルギーとの関連が報告されています。c.f. latex-fruit syndrome (salicylate allergy)

 3) 昆虫アレルギー insect allergy

ハチやブヨの毒に含まれるヒスタミンやその他の蛋白に対する即時型アレルギーで、2回目に刺された時にアナフィラキシ性ショックを起こすことがあります。

 4) 細菌やウイルス感染症 bacterial and viral infection

 5) 職業アレルギー occupatinal allergy

 6) その他悪性腫瘍や膠原病に伴うじんましんもあります。

3. 物理性蕁麻疹 physical urticaria

特定のアレルゲンは見られないものの、寒冷刺激や圧迫や振動、および太陽光線暴露などで繰り返しじんましんを認める場合があります。

4. コリン性 cholinergic urticaria

運動、入浴、緊張などで体温が上昇し、発汗した後に診られる直径3-5mmの膨隆疹。通常痒みは強くありません。

血管性浮腫 angioedema

真皮下から皮下脂肪組織で生じた蕁麻疹で痒みは伴いません。

原因が遺伝性(C1エステラーゼ阻害因子の低下)と非遺伝性に分けられます。

口唇、眼瞼に好発します。

鎮痛薬やピル服用後に出現する場合があります。

じんましん関連疾患

食事後に運動をして、蕁麻疹、アナフィラキシーを起こすもの。

小麦中のαグリアジンによるものがよく知られています。

エビ、イカ、カキ、セロリなども原因になります。

植物依存性運動誘発アナフィラキシー food-dependent exercise-induced anaphylasis (FDEIA)

食事後に運動をして、蕁麻疹、アナフィラキシーを起こすもの。

小麦中のαグリアジンによるものがよく知られています。

エビ、イカ、カキ、セロリなども原因になります。

蕁麻疹の症状 Signs snd Symptoms of urticaria / hives 

1. 皮膚の症状
熱感 feeling of warmth
赤くなる flushing [erythema]
痒くなる(手のひら、耳の穴、足の裏、陰部) itching
膨らむ urticaria
移動する紅斑 morbilliform rash
鳥肌が立つ "hair standing on end" [pilor erection]

2. 皮膚以外の症状
唇、喉、軟口蓋のいがいが、腫れぼったい感じ
Itching or tingling of lips, tongue, or palate Edema of lips, tongue, uvula Respiratory
鼻づまり、鼻水、くしゃみ Nose - itching, congestion, rhinorrhea, and sneezing Laryngeal - itching and "tightness" in the throat, dysphonia, hoarseness, stridor
息苦しさ、喘鳴、繰り返す咳 (気管支粘膜のじんましん)
Lower airways - shortness of breath (dyspnea), chest tightness, deep or repetitive cough
嘔気、腹痛(差しこむような、周期的な)、下痢
Nausea, abdominal pain [colic, cramps], vomiting [large amounts of "stringy" mucus], diarrhea, and dysphagia [difficulty swallowing]
動悸、胸の締めつけ感
palpitatin, chest oppression
頭痛、涙
headach, tearing,

蕁麻疹の治療 treatments of urticaria / hives 

初発時は10日間程度内服しますが、その後再発した時は2−3ヶ月服用を継続します。服用を中止すると再発するため、10年以上服用し続けている方もいます。年とともに反応は弱まる傾向にあります。定年後、症状が全くでなくなる方が多いです。

1. 抗ヒスタミン薬 antihistamines

抗ヒスタミン薬(第1世代)  眠気が強く出て口が乾くが、強力で薬価が安い。市販薬はほとんどこのタイプ

アゼラスチン 1mg 1日2回、月110円 

抗ヒスタミン薬(第2世代)  眠気が出にくい。よく効くが、薬価が高い。

アレグラ 60mg(全く眠くならない)1日2回、月1,350円

アレジオン 20mg(ほとんど眠くならない。喘息の適応あり)1日1回、月1,500円→ エルナピン20mg 月800円(ジェネリックです)→エピナスチン月800円。

クラリチン 10mg レディタブ(口腔内崩壊錠、口の中で溶ける。全く眠くならない)1日1回、月900円→2018-1デザレックス(ロラタジンの活性代謝物5mg1日1回(月630円)2018-10デザレックス自主回収→ロラタジンOD10mg (クラリチンのジェネリック 月

タリオンOD 10mg (口腔内崩壊錠ハッカ味。早く効く。女性では眠くなる場合あり)1日2回、月900円

ザイザル 5mg (ジルテックの後継品。ほとんど眠くならない)1日1回、月990円

アレロック 5mg (眠気を訴える人が多いが、効果は強い)1日2回、月1,080円

2. 経口ステロイド oral corticosteroids
プレドニン 5mgを2錠 (症状が強い時に3日間連続朝のみ服用すると1週間効果が続きます。眠気なし。)1日1回2錠で3日分のみ処方します。1回11円

セレスタミン  (ステロイド(デキサメサゾン0.25mg)と第1世代抗ヒスタミン(クロルフェニラミン2mg)の合剤、眠くなるがよく効きます)1日1−4回1錠、1回11円

3. 注射 intravenous injection
ステロイド(リンデロン8mg)と強力ミノマイシン(グリチルレチン(肝機能改善薬)を5分ぐらいかけて注射します。1−2時間で痒みがなくなりますが、内服薬の併用が必要です。副作用は特にありません。

蕁麻疹治療ガイドライン the 2018 international guideline (WHO) 

第1選択 first line 第2世代抗ヒスタミン薬

第2選択 second line 第2世代抗ヒスタミン薬の増量(2倍量まで服用可)

第3選択 third line 第2世代抗ヒスタミン薬+睡眠前の第1世代抗ヒスタミン薬またはステロイドを短期間併用

ここまでは当院で行います。以下の治療は総合病院へご紹介致します。

第4選択 4th line Omalizmab(抗IgE抗体 anti IgEの追加

第5選択 5th line サイクロスポリンの追加 add cyclosporin

よくあるご質問 frequently asked question

Q. 血液検査で原因がわかりますか?

A. アレルゲンと血液を反応させて調べる検査がアレルギー体質かどうかを知る上で参考になりますが、実際はアレルゲンの暴露による蕁麻疹(特異的、外因性)は少なく、疲労に伴う(非特異的、内因性)の蕁麻疹がほとんどです。

Q. 塗り薬はないですか?

A. 蕁麻疹は湿疹と異なり皮膚の表面の病変ではないので、塗り薬は無効です。掻き壊してしまったときにはステロイド軟膏を3−4日間塗ります。

Q. 飲み薬はいつまで飲んだらいいのですか?

A. 初めての方は10日分程度処方します。服用中止後症状が再発する方は月単位で処方します。転職したらでなくなった、軍隊に入ったらでなくなった(韓国人の方)などストレスが関与しているものと思われます。

Q. ミントを食べるとくしゃみが出ます。

A. サリチル酸(salicylate)アレルギーが考えられます。解熱剤(アセチルサリチル酸)やいちごなどに含まれます。ワインの酸化防止剤(亜硫酸 sulfite)に反応する方もいます。

Q. 内科疾患との関連はありますか?

A. 慢性蕁麻疹では膠原病、甲状腺疾患との関連が報告されています。50歳以上の慢性蕁麻疹では悪性腫瘍検索(cancer workup)が必要です。

Q. 手にブツブツができてかゆいのですが?

A. これもじんましんの一種です。塗り薬だけでは効果が乏しいので、飲み薬を併用します。飲酒が原因になることもありますので注意してください。

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